通信交通技術の飛躍的な発達に伴って、世界はますます狭くなり単一化しようとしています。いまやどのような些細な製品開発においても、最初からグローバルマーケットを対象にしなければ成り立ちません。
ただしその世界市場への道はけっして平坦ではなく、技術上、歴史上、法律上、慣習上、倫理上、宗教上、地理上などさまざまなハードルが行く手をふさいでいます。そしてそれら総てのハードルの総決算(ボトム・ライン)が現在CSRとよばれているものです。いま、わが国で広がろうとしているCSR調達・CSR購入の波は企業集団として皆でこの波を乗り越えようとするものです。
CSRとはなかなか複雑なもの(COMPLEXITY)で各地各国の基準にあえばそれでよいというものではありません。サルマネではなくて自分本来の価値観正義感美意識をくっきりとマーケットに向かって打ち出す事によって、はじめて存在価値が認められるというものです。
幸い日本には前工業化時代につちかった商業道徳の伝統とここ数十年に及ぶ環境経営の実績があり、これらがわが国独自のCSRの源泉として世界に誇れるものとなっています。
ただし現状の大勢は「恥の文化」「和魂洋才」のなごりからか、いたずらに「規格植民地」に終始し、あるいはコンプライアンスと報告書作りに追われる請負型で受身のCSRに陥っています。これでは世界のメガトレンドに追いついていく事さえできません。
市場における社会的立場の喪失は、経済的地位の没落に直結します。変幻極まりない消費者の嗜好、市場の動向にタイムリーに応えるためには規格ロボット的なCSRではなくて「本心」からのCSR、集団的学習と理解に基づいたCSRを実現する事以外にはありません。それには、先ず、自分が何者であるか、いまどこにあり、どこへ行こうとしているのか(存在規定と文脈)を、企業として知らなければなりません。
その手法を手にいれなければなりません。
このようなニーズに応えるため、このたび国際的な評価と実績のあるMITA-MODELを応用した「CSRセルフチェックシステム」が製作・公開されました。
この手法の特徴は、項目の入力を経て、自動的にCSR-TREEが立ち上がり、一目で自社の現状を把握できることにあります。作業過程をできるだけオープンなものにする事によって、CSRが企業価値の向上に直結するものであるばかりでなく、経営者への合理的な敬意、技術開発の先進性、顧客の満足、従業員の生きがいと誇り、家族の幸福、地域の安全と繁栄、企業と国の文化への愛情を育てるものであることが広く理解されるでしょう。
時間は人も企業も待ってはくれません。「セルフチェック」はCSRの土台作りに過ぎず、最強の企業になるためには土台をしっかりかためたうえで、次のステップがあります。
一日も早くスタートする事をお勧めします。
環境経営学会 会長 CSR推進連携機構 理事長 三田 和美